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2015.11.15 Sun 手術を終えて

ああこの身体でまだ暫く、この世界を生きていかないといかんのやと、空を見ながら思っていた。昨日は雨で色を抜かれた空にからすが舞っていた。一昨日も雨、木曜の朝は晴れていた。病室からは小型のタンカーが行き交う海と湾岸線の高速道路が見えた。
手術は入院の翌日だった。手術前日には看護士さんに左脇の毛を剃られた。「右も剃っておきますか?」と聞かれたけどもちろん断った。どうせ左を剃るなら右も、という人が結構いるらしい。やっぱりバランスなんですかね?と笑っていたけど眉唾だった。
隣のおっさんは変な人だった。せっかく退院したのに三日でまた戻ってきたらしく、なんやら肺に水がたまっているらしいけど、コーヒーとタバコとお菓子三昧の困った人のようだった。しょっちゅう外出してタバコを吸っているということや、普段の不摂生ぶりを看護士さんに聞かせたりしては、彼女らに心配されていた。曰く、退院してまた入院したときに看護士さんから「おかえり」と言ってもらえたらしい。それを聞いた看護士さんは、おかえりとは言うけど、悲しいよと言っていた。あとこのおっさんは夜中にお菓子を食いまくるのがうるさくて困った。一応周りに気を遣っているようで、コソコソやっているのが余計に気になった。でも、おかげでどっかしら楽しかった。漫画みたいやなと思ってた。
僕の手術はまぁあっという間で、結果は成功だった。手術台の寝心地はすこぶる良かった。緊張している僕の肩を女医さんがさすってくれていた。麻酔で眠りに落ちて、段階的に目を覚ましていく中で、主治医の先生が僕の左肺の切り取られた部分を僕に見せたり、両親が顔を見に来たりした。手術が終わったのだ、と思いながらまた眠りに落ちたりした。この日は飲み食いは一切出来ない。寝てるだけ。痛みで辛いだろうから音楽を聴くぐらいしか出来ないだろうとCDを十枚ほど持ち込んだけど、痛くてCDを聴く余裕すらなかった。
身体に穴を開けたり、臓器を切り取ったり、チタンのホッチキスで留めたり、生体化する布を臓器にかぶせたり。手術っていうのは大ごとやなぁと動かない身体で改めて思っていた。まるで自分の身体じゃないみたいで、本当に身体が動かなかった。無理して動かさないと用も足せないわけで、そういうときは必死で身体を起こすんやけど本当に苦痛だった。
手術の翌日、脇に挿していた管を抜いて以降は、少しずつ自由が利くようになっていった。ものを食うことも出来るようになった。日に日に回復していくというのは凄い。凄いな。でも、暫くは高熱が下がらなかった。昨日まで、熱が出ていたかな。今も薬で抑えられているだけかもしれない。
毎日病室に掃除に来てくれるおばちゃんと仲良くなった。高校生?って聞かれてさすがに噴出した。久々に若く見られた。わしもう三十二やで、チビもおるでって悪ぶった笑顔で答えた。退院決まったときは手を叩いて喜んでくれはったけど、おばちゃんの仕事は、なんだか素敵な大切な仕事やなと思った。

入院期間中、有り余った時間を持て余すだろうと思って、ちょうど良かったと人生に迷えるおれはこの時間を有効活用できることを期待していた。本も何冊も持ち込んだ、もちろん読破するつもりだった。けど実際はなかなかそうもいかなかった。手術後は痛みに耐えることに必死で、また管にたくさん繋がれていたら人間何もやる気が起こらないものだ、鍛錬が足らんなぁなんて思いながら、真理に至る考察なんて重ねてる場合じゃなかった。
それでも少しは見えたものがあった気がする。少なくとも前の自分とはまた別人だという気がする(フィジカルもメンタルも)。思ったのはやっぱり歌に連れられて歩いているような、そういうところがあるということ。アンテナの歌という無意味な歌がとても大きな意味を持つことを知ったりした。ほかにも、痛みや熱の中で見えてきたものもあった。傷、痛み、熱、これらは生きていくうえで実際とても重要なものだということ。
三つ穴の開いた身体はまだまだ言うことを聞かないけれど、手術して良かった。もう少なくとも暫くは気胸に悩まされることもないだろうし(一生ないことを期待している)、経験としても悪くなかった。しっかり身体を慣らして、良い新年を迎えたい(気が早い?)。11月20日にパラダイスでライブがあるけど、やりますよ。今出来ることを全力でやります。そして僕の音楽はまた変わっていくと思う。この身体でまだ暫く、この世界を生きていくんやと感じています。身体は更新される。心はその少し先を行ったり、身体に追いついたりする。どちらも何かを追いかけてるような、そんな感じがする。
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